探偵の違法調査とは|依頼者が巻き込まれないために見積りで確かめること

2026年9月、郵便局の職員と探偵業の人が、居住者の情報と現金のやりとりをめぐる疑いで逮捕されたと報じられました(認否は明らかにされていません)。
探偵の違法調査とは、法律に触れる方法で人のことを調べることです。法律で守られた情報を不正な手段で手に入れる、住まいに無断で入る、盗聴するといった調べ方は、法律に触れるおそれがあります。探偵業の届出をしていても、こうした調べ方が許される特別な権限はありません(探偵業法6条)。
違法と知ったうえで頼むと、事案によってはご依頼者も責任を問われることがあります。
巻き込まれないために肝心なのは、見積りの段階で担当者から話を聞くことです。「料金の中身」「どのような調査になるか」「調べられないこと」の3つを聞き、納得してから契約しましょう。
2026年9月に報じられた、探偵業の人の逮捕

2026年9月29日、北海道警察が郵便局の職員と探偵業の人を逮捕したと報じられています。報道によると、疑いは加重収賄と贈賄です。2人の認否は明らかにされていません。
郵便局の業務で知った居住者の情報を、見返りの現金と引き換えに渡した疑いが持たれています。警察は、探偵業に使う目的だったとみて調べているそうです。その後の報道では、探偵業の人が、調査の対象の方の住所や、そこに住んでいるかどうかを教えるよう求めていたと、警察の話として伝えられています。手に入れた数人分の情報を探偵業に使っていたとみられるとのことで、警察は、ほかにも不正に手に入れていないか調べているそうです(2026年10月1日の報道)。
まだ疑いの段階で、捜査は続いています。ただ、職員などに、仕事で知った個人情報を漏らさせることは、探偵業の届出があっても許されません。
この記事は、2026年10月1日時点の報道と法令にもとづいて書いています。
共用部への立ち入り・張り込み・カメラの設置が法律でどう扱われるかは、次の記事で整理しています。

出典:北海道新聞の記事を見る/東京新聞(共同通信)の記事を見る/STVの記事を見る/2026年10月1日の北海道ニュースUHBの報道
探偵の違法調査とは:調べられない情報と、法律に触れるおそれがある調べ方
- 戸籍・住民票
- 預金・口座・借入先
- 携帯電話の契約者
- 出身地・本籍など、差別につながること
- 住まいへの無断の立入り
- 盗聴・盗撮
- 無断で位置情報の機器を付ける
- 他人のスマートフォンを無断で見る、他人のアカウントに無断でログインする(不正アクセス)
- 身分や目的を偽って聞き出す
- 職員などに、仕事で知った情報を漏らさせる
探偵業の届出は、特別な権限ではありません
探偵業法6条は、この法律があるからといって、ほかの法令で禁じられていることができるようになるわけではない、と定めています。人の生活の平穏を害するなど、個人の権利や利益を侵すことも許されません。
警視庁も、届出は探偵業者に特別な権限を与えるものではない、と案内しています。探偵業法に違反した業者は、公安委員会から指示や営業停止などの処分を受けることがあります(探偵業法14条・15条)。
探偵にできるのは、法律の範囲の中で調べることです。
法律の範囲でできる調査
探偵に調査を頼むこと自体は、違法ではありません。探偵業法2条1項は、探偵の仕事を、聞き込み・尾行・張込みなどの方法で実地に調べ、その結果を依頼者に報告するものとしています。
- 尾行・張込みで、人の行動を確かめる
- 調査の記録として、写真や動画を撮る(人の家の中は写さない)
- 聞き込みで、周りの方にお話を伺う
聞き込みは、ご依頼者や相手の方のことが気づかれないよう、目的を伏せて行います。ただし、身分や目的を偽って聞き出すことはしません。6条のとおり、どの方法でも、人の生活の平穏を害するやり方は許されません。

法律で守られていて、探偵が調べられない情報
次のような情報は、法律で守られています。探偵には、これを調べる権限がありません。
- 戸籍・住民票
- 預金の残高・口座・借入先
- 携帯電話の契約者
出身地・本籍など、差別につながることも調べません。
相手の預金を知りたいときは、裁判所の手続(財産開示手続・第三者からの情報取得手続)があります。まずは弁護士や司法書士の先生にご相談ください。
法律に触れるおそれがある調べ方
調べ方にも、してはいけないものがあります。代表的なものは次のとおりです。
- 人の家や敷地に、無断で入る
- 盗聴・盗撮をする
- 相手の車などに、無断で位置情報の機器を付ける
- 他人のスマートフォンを無断で見る、他人のアカウントに無断でログインする(不正アクセス)
- 身分や目的を偽って聞き出す(なりすまし)
- 職員など、仕事で個人情報を扱う人に、その情報を漏らさせる(今回の報道で疑われている形)
個人情報を取り扱う事業者が、偽りなどの不正な手段で個人情報を取ることは、個人情報保護法20条1項で禁じられています。
どれに当たるかは、個々の事情で判断されます。当社では、ご相談の中身がこうした調べ方につながるおそれがあるときは、はっきりそうお話しします。
出典:探偵業法の条文を見る(e-Gov)/個人情報保護法の条文を見る(e-Gov)/警視庁「探偵業法の概要」を見る
探偵の違法調査に、依頼者が巻き込まれることがあります

違法な調べ方をするのは探偵でも、頼んだ側が無関係でいられるとは限りません。
違法と知って頼むと、依頼者も責任を問われかねません
刑法には、一緒に罪を犯した人(共同正犯・60条)を罰する決まりがあります。人をそそのかして罪を犯させた人(教唆・61条)や、手助けをした人(幇助・62条)も、罰せられる場合があります。手助けをした人の刑は、軽くなります(63条)。
違法な調べ方と知ったうえで探偵に頼めば、事案によっては、依頼した人がこれに当たるおそれがあります。調べられた人から損害の賠償を求められることも、ないとは言えません(民法709条・719条)。
罪や責任になるかどうかは、事情によって変わります。個別の判断は、弁護士の先生にご相談いただくことになります。
「安く済ませたい」「他社ではできると言われた」というご相談
費用を安く済ませたいというお気持ちから、違法な調べ方を当社に持ちかけてこられる方もいます。「他社ではできると言われたのに、こちらではできないのか」というご質問も、実際に受けています。
そのときは、「それはできないことです。違法なことになりますので、もう一度お考えになっていただけますか」とお伝えしています。ストーカー規制法や個人情報保護法に触れるおそれ、プライバシーの侵害(民法の不法行為)など、どの法律や権利に関わるのかも含めて理由をお話しします。
お話しすると、ほとんどの方がその調べ方を諦められます。ほかの業者に相談するときも、できない理由をきちんと説明してくれるかどうかは、業者を見る手がかりになります。
契約の前に、依頼者も「違法な目的に使わない」書面を出します
探偵業者は、契約を結ぶまでに、依頼者から書面を受け取るよう決められています(探偵業法7条)。調査の結果を、犯罪や違法な差別的な扱いなど、違法なことに使わないと示す書面です。当社では「確認書兼誓約書」と呼んでいます。
頼む側にとっても、違法なことに関わらないための確かめの場になります。この書面を求められないまま契約が進むときは、いったん立ち止まってください。
依頼する前に、覚えておきたいこと
- 違法な調べ方と知っていて、頼まない
- 「できます」と言われたら、法律の範囲でどう調べるのか、大まかに聞く
出典:刑法の条文を見る(e-Gov)/民法の条文を見る(e-Gov)
信頼できる探偵業者か、どう確かめる?

依頼先を選ぶときに、ご自分で確かめられることがあります。見るところは、届出・会社概要・担当者の説明の3つです。
まず確かめたい、届出と標識
探偵業を営むには、公安委員会への届出が要ります。探偵業は「許可」ではなく「届出」の仕事です。
令和6年4月1日に、探偵業届出証明書は廃止されました(神奈川県警察のお知らせ)。証明書を見せてもらう確かめ方は、もう使えません。探偵業者は、営業所の見やすい場所に「探偵業の標識」を掲げることになっています(探偵業法12条2項)。
ただし、標識があることは、その業者のよさを警察が保証するものではありません(千葉県警察)。届出は、確かめることの最初の一つと考えてください。
- 北海道公安委員会
- 届出年月日:令和6年4月3日
- 届出書の受理番号:第10240023号
会社概要のページで、代表者と所在地も見ておく
依頼を考えている業者のサイトでは、会社概要のページも見ておきます。確かめたいのは、次の4つです。
- 代表者の名前
- 営業所の所在地
- 届出書の受理番号
- 探偵業の標識
ウェブサイトへの標識の掲示が義務になるのは、常時使用する従業者が6人以上の業者です(探偵業法12条2項・同施行規則6条1項)。4つのうち載っていないものがあることだけで、問題のある業者とは言えません。分からないところは、相談のときに担当者に確かめられます。
探偵業者を見分けるときに気をつけたい、担当者の言葉と様子
相談やお見積りの場で、次のような様子があれば、契約を急がずに考え直してください。
- 「何でも調べられます」「個人情報も取れます」と言う
- 何のための調査か、目的を聞かない
- 違法な目的に使わない旨の書面(誓約書)や、重要事項説明書を出さない
- その場で契約するよう急がせる
いわゆる悪徳探偵を見分けたいと思ったときも、見るところは同じです。業者の評判より先に、説明の中身を見るのが近道です。

出典:神奈川県警察のお知らせ(届出証明書の廃止)を見る/千葉県警察「探偵業者に調査を依頼される方へ」を見る/警察庁「探偵業について」を見る/探偵業法施行規則の条文を見る(e-Gov)
お見積りのときに、担当者から聞いておきたい3つのこと
- 料金に何が含まれ、何が別か(諸経費・深夜の割増など)
- どのような調査になるか(大まかな流れ・日数の目安)
- 調べられないこと・お受けできないこと
- ご依頼の目的を聞かれたか
- 説明に納得してから、重要事項説明書・契約書へ進めるか
- 探偵業の届出(届出書の受理番号・標識)
ここからは、当社が実際に、契約の前にお話ししていることです。ほかの業者に相談するときも、この3つが確かめる目安になります。
1 料金の中身(何が含まれ、何が別か)
総額だけでなく、何が含まれ、何が別にかかるのかを聞いておきます。諸経費がかかる調査の場合、当社では、車両代・交通費(ガソリン代)などが調査料金とは別にかかることを毎回ご説明しています。あとになって「なぜ」とならないようにするためです。
紫苑の料金では、ほかにも、たとえば次の点で金額が変わります。
- 調査の種類によっては、午後10時から翌朝5時までの深夜帯に割増がかかる
- 報告書の作成料や撮影機材の利用料が含まれるかは、調査の内容による
お見積りでお伝えした金額を超えるご請求はいたしません。(調査の延長や、やむを得ない事情で追加の調査が必要になった場合は、あらためてお見積りをお出しし、ご同意をいただいてから進めます。)

2 どのような調査になるか(大まかな流れ)
調べ方の細かいところまではお話ししません。それでも「ざっくりと、こういう調査になります」ということはお伝えしています。たとえば聞き込みなら、「ここからここまでの範囲で、一件ずつ選んでお話を伺います」という程度です。
どれくらいの日数がかかりそうか、目安もあわせて聞いておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。
3 調べられないこと・お受けできないこと
当社では、調べられないことをお見積りのときにお伝えしています。たとえば、今回の報道で疑われているような、ほかの人に仕事で知った情報を漏らさせること。個人情報に触れる部分も、お受けできないことがあります。
「これは調べられますか」と聞かれて、すぐにお断りすることはありません。ただ、個人情報につながることや、ストーカーにつながるおそれのあることは、事情を詳しく伺っていきます。
聞いたうえで、納得してから重要事項説明書・契約書へ
探偵業法8条は、契約の前に大事なことを書面で説明し、契約したら契約の中身の書面を渡すよう定めています。
当社では、この3つの話を、書面をお渡しする前にもしています。納得していただいたうえで、重要事項説明書でもう一度ご説明し、契約書に進みます。
質問をはぐらかされたときや、「何でもできます」とだけ言われたときは、その場で決めずに持ち帰ってください。
当社では、お見積りの前に、調べられること・調べられないことだけを確かめたい、というご相談もお受けしています。


違法な調査はお受けせず、法律の範囲で調査しています

法律に触れるご依頼は、お断りしています
当社は、違法になるご依頼はお受けしていません。探偵業法9条1項も、調査の結果が違法なことに使われると知ったときは、業務をしてはならないと定めています。
ご依頼の目的が分からないものは、お受けしません
情報を調べる調査でも、ご契約が要ります。当社では、何のための調査かをきちんと伺い、目的が分からないご依頼はお受けしていません。
人探しのご相談は、ストーカー規制法に照らして事情を確かめてから、お受けするかを決めます。

毎年、協会の研修会を受講しています
当社では、探偵業法第11条に定める教育として、一般社団法人 全日本総合調査業協会 主催の「探偵・興信所教育研修会」を毎年受講しています。
研修で扱うのは、関係する法律の解釈と実務での当てはめ、法改正にともなう調査のやり方の見直しです。全国の探偵業者で実際に起きたトラブルの事例と、その原因も学びます。
先日の研修会では、北海道公安委員会の方からも、ストーカーに関わるお話がありました。安易に人探しをしないこと、目的をきちんと把握することを、あらためて確かめています。
代表の橋本 浩は、同協会の理事です。
当社の受講修了証(令和8年度 第1回)は、会社概要に載せています。
探偵に相談した内容や個人情報の漏洩が気になる方へ
報道を見て、探偵に相談した自分の情報は大丈夫だろうか、と気になった方もいるかもしれません。
探偵業者には、業務で知った秘密を守る義務があります
探偵業者の業務に携わる人は、業務で知った人の秘密を、正当な理由なく漏らしてはなりません。業者を辞めたあとも同じです(探偵業法10条1項)。
調査の資料が不正に使われないよう、必要な手だてをとることも求められています(同2項)。
情報の扱いが不安になったときは、ご依頼を考えている業者に、ご契約までに直接お尋ねください。
契約の前に、聞いておきたいこと
- 相談した内容や書類を、どこに、どのように保管するか
- 調査が終わったあと、書類や写しをいつまで持っているか
当社での扱い
総合調査 紫苑では、お客様の情報を次のように扱っています。
- パソコンのデータ:セキュリティをかけて保存
- 署名をいただいた書類:金庫の中で保管
- ふだんの取り扱い:個人情報保護法の基礎的な決まりを守る

よくある質問
まとめ:探偵の違法調査に巻き込まれないために
- 違法な調べ方は、探偵業の届出があっても許されない
- 違法と知って頼めば、事案によっては依頼した人も巻き込まれることがある
- お見積りのときに、料金の中身・調査の流れ・調べられないことを聞き、納得してから契約する
総合調査 紫苑では、電話・LINE・メールでご相談を伺っています。どのような調査になるのか、調べられないことも含めてご説明します。
お話を伺ったうえで、ご依頼にならなくても差し支えありません。ご相談は無料です。お話しになりやすいところからで構いません。







